研究課題/領域番号 |
23680074
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
榊原 啓之 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (20403701)
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キーワード | 概日リズム / 食品機能成分 / 生体内有効性 / 生物時計 / マウス / 環境ストレス |
研究概要 |
本研究の目的は、生体内で刻まれている様々な概日リズムによって、摂取した食品成分の生体内有効性がどのように制御されているのかを明らかにし、その制御機構のデータベースを構築するとともに、概日リズムを調節できる食品成分を探索することである。平成23年度は、メラトニンをほとんど生合成できないマウス(C57BL/6)および生合成できるマウス(C3H)から経時的に採取した肝臓および血液試料を用いて、様々な因子、例えば、血中のコルチコステロンやPAI-1レベル、肝臓中の時計遺伝子やPai-1遺伝子等が刻む日内リズムを測定するとともに、文献学的にデータを集約した。また、外界からの刺激が体内で刻まれているリズムに及ぼす影響を調べる為に、特に、概日リズムをリセットする主要因子である光に着目して研究を実施したところ、暗期の光曝露がBma11/やClock等の時計遺伝子だけでなく、Pai-1遺伝子の発現にも作用することを見出すとともに、光曝露がPai-1に作用する機序が、光曝露時に副腎から分泌されたノルアドレナリンを介している可能性を示唆するデータを得た。さらに、機能性食品成分としてビルベリーに含まれているアントシアニンに着目して、摂取する時刻によって、体内への吸収量が異なるか否かを調べたところ、1)暗期(活動期)に投与した方が、明期(休眠期)に投与するよりも胃からの流出時間が短く、そして回腸への到達時間が早いこと、2)血中レベルにも変化が見られるとの結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類の系統のマウスを用いて、血液および肝臓中の幾つかの因子の概日リズムの測定を終了している。また実際に摂取する時刻の違いにより、みられる生体内有効性が異なる可能性を示唆するデータを得ている。さらに、研究を推進する過程で、体内で刻まれているリズムが外界からの刺激(光曝露)により変化するという、予定していなかった結果を得ており、これは今後の研究を推進する上で極めて興味深い知見といえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究で、外界からの刺激(光曝露)が概日リズムに作用するとの知見を得た。そこで、その他の外界からの刺激が概日リズムに及ぼす効果について、追跡している。また、摂取時刻の違いにより、生体内有効性が異なる可能性があることを示唆する結果を得たことから、さらに吸収・代謝過程、さらに抗酸化等の機能性に着目してより詳細な差異を追跡していく。また、時間機能性成分研究を細胞レベルで評価しうる手法の確立へ向けての研究に着手する。
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