本研究で得られた成果は以下の通りである。 (1)スポーツオノマトペを用いた柔道の技の理解を図る学習システムの開発:柔道指導者を対象にした柔道の技指導、現場実践に必要な諸機能、技のメタ情報に関する意見結果を踏まえて学習を促すシステムのプロトタイプを開発した。 (2) 指導者側の学習評価機能の改良:研究者が2008年度~2010年度の科学研究費補助金(若手研究(B))で提案した学習評価のレポートを参考にしながら効率的かつ継続性の高いものに改良した。レポートは、主に①技を学ぶクイズの学習回数とその平均正答率、②学習の出来を自らが評価する主観評価、③学習者と教員がコメントする欄に区分された。レポートは、PDFファイルに保存ができるので、学習した回数のレポートをまとめれば成績評価のためのポートフォリオとしても活用ができる。 (3)システムのユーザビリティの検討:学習進行や操作を分かりやすくするためユーザビリティの観点から、メーン・サブコンテンツにイラストを配置、学習コンテンツに触れるとカラー表示するなど視覚的な工夫を図った。クイズ学習機能では、正解・不正解を示す○・×アイコンを画面中央に表示、クイズの進み具合をグラフィック表示するなど学習者の理解をえられやすいようにした。 (4)システムの利用に関する学習者の評価:開発したシステムについてアンケート調査及びテキストとの学習比較実験から評価を行った。その結果、システム全体に関する評価、オノマトペに関する評価、学習効果に関する評価の全項目で肯定的な回答が得られた。システムとテキストによる学習比較では、システムを使った方が全体の傾向として高評価であった。以上のことから、本システムは現場で技を指導する際に有用となると考えられる。
|