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2011 年度 実績報告書

クロスセクション解析とマッピングATRを組み合わせた複層塗膜の分析手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23680082
研究機関明治大学

研究代表者

本多 貴之  明治大学, 理工学部, 講師 (40409462)

キーワード文化財分析 / 劣化解析 / 高分子分析
研究概要

漆膜3種(中国産・ベトナム産・ミャンマー産)について厚さ76μmの試料(二年間経過した試料)について、サンシャインウェザーアーク及びキセノンアークランプによる劣化試験を100時間・200時間の2通りについて行った。これら15パターンの試料についてマッピング分析を行い、漆膜の劣化は通常の高分子とは異なることが示唆された。具体的には、合成高分子の場合には劣化深度は一定であり、ある一定の深度範囲のみで劣化が進行する。つまり、全体の厚さはほとんど変化せずに深い部分の劣化状態がより深刻になっていく。一方、漆膜の場合は劣化の進行に伴ってその劣化深度が深くなっていくことが本研究により明らかとなった。これは、これまでの研究により明らかになっている、漆膜は劣化に伴った薄くなるという結果と合わせて考えると、漆膜の劣化は表面から進行し、ある深さになったときに表面部分の欠損が発生すると言うことを示唆している。この欠損により、厚みが減るとその分深い部分まで劣化が進行するということが繰り返されることで漆膜の劣化が進行していることが判明した。
この結果は、実際の試料の分析を行った場合に得られた結果を解析する上で本来の厚さ(試料の有り様)を予想する場合に重要な要素である。この解析には様々なパターンをあらかじめ予想し、様々な漆膜についての検討を行う必要があることが判明した。現状では、主に顔料や油の含まれた漆膜についての検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

漆膜断面のマッピング分析により、漆の劣化の進行は一般の合成高分子とは異なることが確認できた。この点は計画目標を達成できた。しかしながら、機械の移動・引っ越しなどにより多層膜の評価が不十分で有りこの点が予定よりも若干進行が遅れている。

今後の研究の推進方策

漆膜自身の劣化が一般的な高分子と異なる事が分かった為、劣化深度はその劣化時間との関連性がある事が予想される。このことは非常に有用な結果であるが、塗膜表面が欠損した場合にその劣化状態が本来の状態とは異なってしまうためこの点を解決する必要がある。
考古試料に関しては浦添市美術館館長宮里正子氏・東京都文化財研究所北野信彦氏のご協力により、琉球漆器・東南アジアの漆器・安土桃山~江戸時代の漆器・漆塗装について多くの試料が提供された。これらの分析結果は随時発表を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Preparation and Characterization of a New Lacquer Based on Blending Urushiol with Thitsiol2011

    • 著者名/発表者名
      Takayuki HONDA
    • 雑誌名

      Takayuki Honda, Xiaoming Ma, Rong Lu, Daisuke Kanamori, Tetsuo Miyakoshi

      巻: 121(5) ページ: 2734-2742

    • DOI

      DOI10.1002/app.33736

    • 査読あり
  • [学会発表] 漆膜の紫外線による劣化深度に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      本多貴之
    • 学会等名
      第16回高分子分析討論会
    • 発表場所
      工学院大学(新宿)
    • 年月日
      2011-10-26

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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