研究課題
レーザー分光法を用いた分析計が近年になって実用化されたことから、陸域生態系におけるメタンフラックスを高精度に評価するための連続測定が世界中で始められている。これらの測定では、メタンの放出源とれる湿原や農耕地を対象としたものが多く、森林などのメタンの吸収源と目される生態系を対象としたものは少ない。森林のメタンフラックスは湿地等の放出フラックスと比べて一桁程度小さく、計測が容易でない。そこで本研究では、微気象学的手法とチャンバー法を組み合わせて森林におけるメタンフラックスの多面的観測を実施し、空間代表性を有するフラックスの定量化、プロセスの解明、測定技法の向上を行った。双曲線簡易渦集積法により群落スケールでの交換量、自動開閉式閉鎖型チャンバー法によりプロットスケールでの交換量を計測した。メタン濃度の鉛直プロファイルを入力として、多層モデルの逆解析を実施し、観測されたメタン交換量との比較を行った。観測は、山梨県富士吉田市の富士北麓フラックス観測サイトにおいて実施された。観測地では、樹齢約50年のカラマツ人工林が粗粒火山灰土の上に均質に生育していた。観測から森林はメタンの吸収源として作用し、特に夏季に吸収量が大きくなることが分かった。また、観測されたメタン吸収は、土壌において起こっていることが示唆された。森林のメタン吸収量を決定する要因としては、第一に土壌水分量、第二に地温が重要であることが分かった。これは、土壌水分の上昇で土壌中の空隙率が低下するとメタン酸化の気質となるメタンが土壌に供給されにくくなるため、吸収速度が低下することを示唆している。また、地温が上昇するとメタン酸化菌の活性が高まり、吸収速度が上昇することを示唆している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Agricultural and Forest Meteorology
巻: 178-179 ページ: 183-193
http://www.envi.osakafu-u.ac.jp/atmenv/02_Research/FHK/Fuji.html