研究課題/領域番号 |
23681008
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
河尻 耕太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (00415663)
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キーワード | 太陽電池 / グローバルサプライチェーン / ネットワーク最適化 / CO2 / コスト / Di jkstra / Monte Carlo |
研究概要 |
(研究内容)2011年度において、太陽電池のコストとインベントリデータの収集と、分析用プログラムの開発を行った。データについては、業者に委託するとともに、自ら調査を行い、収集した。分析用プログラムについては、ネットワーク最適化のためのDijkstraプログラムを完成させた。また、各ステージにおける各国・各企業の市場シェアに応じて、国・企業が選択される確率が割り振られ、サプライチェーン全体のコスト、CO2排出量の確率分布が得られる、Monte Carloシミュレーションのプログラムを新たに開発した。 (研究結果)Dijkstraプログラムにより、多結晶シリコン太陽電池1kWを20年使用すると想定した場合、既存の産業構成では、カナダで金属シリコンを製造し、ノルウェーでポリシリコン、シリコンインゴット、シリコンウェハー、太陽電池セルを製造し、スイスで太陽電池モジュールを製造し、オーストラリアで使用することで、サプライチェーン全体で最大約29トンのCO2排出量が削減でき、CO2 payback timeが約半年になることが明らかになった。また、Monte-Carloシミュレーションにより、既存の産業構成では、CO2排出量の確率分布は、-29トンから+1トンまで分布しており、-6トンになる確率が最も高いことや、スイスやフランスに太陽電池が設置された場合に、CO2排出量が増加する(+1トン)ことが明らかになった。 (具体的な成果)以上の成果については、LCA11、日本LCA学会において発表を行うとともに、現在論文執筆中である。また、体研究の前段階の研究として行った、世界全体の太陽電池のポテンシャルマップに関する研究が、環境分野において国際的に権威のある雑誌であるEnvironmental Science and Technology(ES&T)誌において論文が掲載され、American Chemical SocietyにPress Releaseされるとともに、世界中のメディアで取り上げられた。本研究に基づいて、ウェブ上で世界各地の太陽電池の発電量を推計するためのウェブアプリケーションを開発した。また、太陽電池のグローバルサプライチェーンのCO2排出量に関する研究をまとめ、同じくES&Tに提出し、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コスト、インベントリデータベースの作成、分析用プログラムの開発を終え、順調に研究は遂行されている。また、具体的な研究成果として、ES&Tに1報掲載、1報査読中であり、満足な成果があげられている。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度は、2011年度に得られたコスト・インベントリデータと、分析用ツールを用いて、炭素税、炭素関税の影響についてケース・スタディを行う予定である。特段問題はなく、計画に変更はないため、予定通り研究を遂行する。
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