交付申請書の研究計画において、1.コスト分析用データベースの開発、2.サプライチェーン最適化シミュレーターの開発、3.政策によるCO2排出量削減効果の評価、の3つを目的に掲げた。下記において各目的に対する成果を述べる。 1.太陽電池のサプライチェーンで生じるコストと環境影響を分析するためのデータベースを開発した。多結晶Si、単結晶Si、CdTe、CIGSの各太陽電池のインベントリデータを収集し、インベントリに対応した材料、ユーティリティー、設備に関するコストと環境負荷のデータを収集した。電力、建物建設、人件費については、国別にデータを整備し、国別の分析を可能とした。また、使用段階の太陽電池の発電量、電気代削減コスト、CO2削減量を世界全体で分析するためのデータベースを構築した。 2.Dijkstra法を用いたサプライチェーン最適化シミュレーターを開発した。また、各ステージにおける各国のシェアを確率として、モンテカルロ分析を行うためのシミュレーターを開発した。1)で開発されたデータベースとシミュレーターをEXCEL上で連動させ、分析用システムを構築した。 3.上記データベース、分析用システムを用い、政策によるCO2排出量削減効果について分析した。太陽電池のサプライチェーンで最も重要なステージは、使用段階であることを明らかにし、使用段階における導入場所を最適化させるための施策について検討を行った。太陽電池の導入場所で削減されたCO2排出量に対して、所定の金額を電気の買取り価格に上乗せする施策を提案し、CO2削減1kgあたり1ドルを電気代に上乗せして買取ることで、世界のCO2削減効果の大きな土地に導入するインセンティブが生じうる可能性を指摘した。また、導入場所の意思決定を支援するため、世界の各地点の太陽電池発電量、電気代削減金額、CO2削減量を計算できるウェブソフトを開発した。
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