ここまで本研究では「内分泌撹乱化学物質のヒトにおけるリスク評価へ向けた脳発達影響評価系の確立と応用」を課題として利用可能な医科学実験用霊長類であるカニクイザルと毒性学で繁用されるラットの2種類の実験動物を用いて種差を考慮しながら、個体レベル(in vivo)と細胞レベル(in vitro)で実験を行ってきた。本年度はカニクイザルの脳発達をタンパク質発現解析に加え遺伝子発現解析を行い、また脳発達における甲状腺ホルモンの役割のさらなる精査も行った。一方、細胞レベルの化学物質影響評価系の確立と応用を目指し、カニクイザルおよびラット由来の培養細胞に加えてヒト由来のアストロサイトや株化細胞も利用し、これらの細胞を並べて影響評価を行うことで評価バッテリーの拡充に努めた。そして最終年度である本年度はこれまで得られた知見をまとめて投稿論文として報告することに注力し、国際学術誌への公表を果たした。
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