研究課題
3か年計画の本申請課題では、in vitroバイオアッセイ/化学分析/in vivo毒性試験を統合して室内環境に存在する化学物質リスクの包括的評価と毒性同定評価を行い、室内の生活環境や労働環境でモニタリング及び詳細なin vivo試験を実施すべき優先評価化学物質を、科学的根拠に基づいて提示することにある。1年目の平成23年度は、REACH規則(EUの化学品の登録(Registration)・評価(Evaluation)・認可(Authorisation)・制限(Restriction)に関わる規則)で注目されている生殖毒性などに関連する内分泌かく乱作用検出のための各種in vitroバイオアッセイ法を、日本、アメリカ、ベトナム、フィリピン及びインドネシアで採取したハウスダストに適用し、製品使用に伴いダストに吸着する化学物質のハザード実態、検出一般性や特性を明らかにすることを目的とした。ハウスダストでは、ARアンタゴニスト、PRアンタゴニスト、PPARγ2アンタゴニスト及びERαアゴニスト活性が採取地域によらず共通して検出される傾向を示した。また、検出活性の詳細パターンは、概ね国別に類型化され、室内設置製品の使用実態の違いを反映していることを示唆した。In vitroバイオアッセイによる各エンドポイントの評価結果を組み合わせることにより、ハウスダストの生殖毒性等の内分泌かく乱作用に関するハザード特性を整理できた。本手法をハザード寄与物質の同定評価と併せて用いることで、優先的に評価する化学物質を抽出することが可能となる。
2: おおむね順調に進展している
室内の生活環境や労働環境でモニタリング及び詳細なin vivo試験を実施すべき優先評価化学物質を提示するためには、日本だけではなく、諸外国に共通する化学物質リスクを把握する必要がある。平成23年度は、日本及び諸外国で採取したハウスダストのハザード特性や実態を評価して、検出される重要な評価エンドポイントを整理した。一連の経過を鑑みて、申請課題はおおむね順調に進展していると判断した。
平成24年度は、平成23年度の結果に基づき、ハザード強度の高い日本及びアメリカのハウスダストを対象として多検体評価(日本、n=44;アメリカ、n=22)を行い、検出ハザードの一般性・レベルを把握する。次いで、近年ハウスダストから非常に高い濃度で検出され、国際的・学術的に懸念・関心が高まっている難燃剤のハザード特性評価を行い、ハウスダストのハザード特性との比較を実施する。両検討の結果に基づいて重要性の高いエンドポイントについて、ハザード寄与物質の同定検索アプローチに着手する。平成24年度実施予定の難燃剤のハザード特性評価は、申請時に検討項目として挙げていなかったが、近年のハウスダスト研究の進展を鑑みて、実施の必要性があると判断した。
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Yakugaku Zasshi
巻: 132 ページ: 325-329
10.1248/yakushi.132.325
Environmental Science and Technology
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