研究課題
本研究では量子ネットワーク構築のための室温動作する量子情報固体素子実現に向けた基盤研究を主にダイヤモンド中のNV中心を用いて行っている。スケーラビリティという観点から数量子ビットを持った多くの量子レジスタを量子もつれ状態にして量子ネットワークを形成し、量子計算・量子暗号通信を実現しようという理論提案がある。NV中心はこのアーキテクチャで要求している数量子ビットの量子レジスタとして期待できる。その量子レジスタとしては最低でも4量子ビットが量子ネットワーク形成には必要であるとの理論提案がある。我々は電子スピンと核スピンからなる4量子ビットでの量子コヒーレンスの制御に成功し、現在論文作成中である。単一NV-の電荷状態を電気的に初めて制御することに成功した(PRX 2014)。電荷状態の高速変化により核スピンのT2が室温で1秒を超えたという報告がなされたが、電気的な制御では更なる高速化が期待されるため、更なるT2の長時間化も期待される。この点において、本成果は量子レジスタや量子中継器で必要となる量子メモリ時間の長時間化につながると期待される。また、NV軸の方向を1方向に制御することに成功した(APEX 2014)。通常、NV軸の方向は[111], [1-1-1], [-11-1], [-1-11]の4つの方向に同じ確率で向くが、ダイヤモンド(111)基板上にCVD法でホモエピタキシャル成長させたダイヤモンドにおいては、NV軸の方向は[111]のみに向くことを見出した。高品質試料においてはほぼ100%の割合で[111]のみに向いている。発光の取り込み効率向上、アンサンブル系での発光強度コントラスト向上よるスピン情報読み出し効率の向上(4倍)、NV中心を並べた多量子ビット系やNV中心と超伝導量子ビット等との量子複合系での空間位置制御など、本成果は重要な基板技術の創出と位置づけられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.suzukiylab.mp.es.osaka-u.ac.jp/web_mizuochi/indexMizu.html