研究課題/領域番号 |
23681020
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長尾 大輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374963)
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キーワード | 異形粒子 / 磁場 / 複合粒子 / 配向 |
研究概要 |
磁場印加ON/OFFにより粒子配列構造が可逆的に変化する磁場応答性の新規異形複合粒子を合成することに成功した。同粒子は三連球構造であり、マグネタイトナノ粒子を取り込んだ球状シリカ粒子をコア粒子とした3段階シード重合により合成した。1段目の重合では同コア粒子の周囲にポリメタクリル酸メチル(PMMA)シェルを形成し、2段目の重合では、同コア-シェル粒子からポリスチレン(PSt)球を突出させ、3段目の重合では、2段目の重合で突出したPSt球とは対極の位置に第二のPSt球を突出させた。3段目の重合において第二のPSt球を突出させるには、2段目の重合において突出させる第一のPSt球の大きさが重要な因子となることを種々の重合実験から実証した。これらの3段階のシード重合により、磁場応答部位を3連球構造の中心に配した異形複合粒子を合成することができた。 合成した磁場応答性3連球複合粒子に交流電場(1 MHz程度)を印加したところ、3連球の長軸が電場印加方向に対して平行になるように複合粒子が配向(長軸配向構造)、その配向した複合粒子が鎖状に集積する様子を光学顕微鏡で観察することができた。一方、磁場を印加したところ、複合粒子中の磁場応答部位が互いに接した鎖状構造を磁場印加方向に対して形成する挙動(近接構造)が見られた。さらに、交流電場を印加した状態で、電場印加方向と同一方向に対して磁場印加ON/OFFすると、3連球複合粒子がON/OFFに応じて近接/長軸配向の構造変化をすることを見出した。これらの集積挙動観察から、粒子鎖長が集積構造変化とともに可逆的に伸び縮みすることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大震災の影響で研究費の一部が執行できず、共焦点レーザー顕微鏡の導入が大幅に遅れたが、従来行ってきた光学顕微鏡による観察で対処できた。アスペクト比の大きな磁場応答性粒子に対して磁場をON/OFFすることにより、非最密充填構造につながる新たな粒子集積構造を見つけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度末に導入した共焦点レーザー顕微鏡を使って、外場作用下での異形粒子の集積ならびに配向状態を調べる。その際、従来検討してきた低い粒子濃度だけでなく、コロイド結晶形成に必要な高い粒子濃度条件でも検討する必要がある。
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