研究課題/領域番号 |
23681026
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
越野 雅至 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 主任研究員 (00505240)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子顕微鏡 / 高速撮影 / 可視化 / 単分子 / 高感度撮影 / 有機分子 |
研究概要 |
本研究課題の目的は,分子ひとつひとつを可視化し、その時間的構造変化や化学変化を原子レベルで解析する研究手法を提案することである.特に結晶構造解析のようにたくさんの分子を必要とせず,また同時にいくつもの化学反応が起こった場合でも,それぞれの反応をひとつずつ解析できる分析手法の開発を行うことが狙いである.これまでに達成した個別分子の運動および化学反応の測定をさらに発展させ、より信頼度の高い測定と,高速CCDカメラを用いた測定により現行の10倍以上の速い動きに対応したミリ秒での分子の動きや化学反応の解析を目指す. 次年度は、初年度に導入した高速CCDカメラを使用した画像取得、および画像解析技術の開発ともに順調に進展している。初年度同様、1. 原子ラベリング法の開発,2. 温度やエネルギーなどの外部環境変化に対する分子の動きの解析,3. 超薄膜,真空への試料固定による超高感度測定の検討を行い、良好な実験結果が蓄積されている。 そして、今年度は当初の開発目的に加えて、全く新しい高速画像取得技術の開発を行った。具体的には、高速暗視野動画の撮影とそれに対応するエネルギー損失分光データの取得を可能とするインターフェースを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
テーマ1, 2, 3に関しては,実験データが着々と蓄積されており,現在データ解析と科学的説明に必要なモデルの構築そして電子状態計算など詳細を詰めている段階である.今後は対外発表を積極に行う必要があるが,これは自ずと実現されていくものと考える.以前から観察している分子や原子の動的構造とそれらの電子状態を1対1で反映させる方法がないか試行錯誤していたが,それを実現するためのプログラムをようやく完成することができ,その動作確認も終えた.今後はこの手法をさまざまな系に適用してその可能性を精査する予定.
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今後の研究の推進方策 |
すでに蓄積されたデータを積極的に発表していく予定である.特にテーマ2の温度やエネルギーなどの外部環境変化に対する分子の動きの解析は,新しく開発した高速同時STEM-EELS測定動画測定と組み合わせて,どのくらい応用範囲があるのか今後詳しく調べていく予定である.
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