当初研究課題の目的は,分子ひとつひとつを可視化し、その時間的構造変化や化学変化を原子レベルで解析する研究手法,特に透過型電子顕微鏡(TEM)法に基づく解析法を提案した.この手法では,結晶構造解析のようにたくさんの分子を必要とせず,また同時にいくつもの化学反応が起こった場合でも,それぞれの反応をひとつずつ解析できる分析手法の開発を行うことが狙いであった.そのため,H23 に高速CCD カメラを導入し,画像取得、および画像解析技術の開発ともに順調に進展してきた。1. 原子ラベリング法の開発,2. 温度やエネルギーなどの外部環境変化に対する分子の動きの解析,3. 超薄膜,真空への試料固定による超高感度測定の検討を行い、良好な実験結果が蓄積されている。これまでに達成した個別分子の運動および化学反応の測定をさらに発展させ、より信頼度の高い測定と,高速CCDカメラを用いた測定により現行の10 倍以上の速い動きに対応したミリ秒での分子の動きや化学反応の解析を目指し,固-液状態のナノ構造体の構造変化などを高速で撮影することなどに成功している.
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