研究課題
<研究目的の概要>本研究においては、(1)マイクロ流体テクノロジー、およびそれと相補的な微細加工技術を駆使して培養細胞において人工細胞外微小環境を創出し、(2)細胞微小環境による細胞運命制御のメカニズムを解明することを目的とする。具体的には、A.多様な細胞外微小環境を作製・試験できるハイスループットマイクロ流体デバイス(HT-μFD)の開発、B.ナノファイバーライブラリの作製とHT-μFDへの組込みによる細胞外微小環境ライブラリの作製、C.ヒトES/iPS細胞の自己複製を促進する微小環境の同定とその作用機構の分子生物学的な解析を行う。<平成23年度の研究成果の概要>平成23年度では、まず申請者が以前に開発したヒト多能性幹細胞実験用マイクロ流体デバイスのハイスループット化(HT-μFD)を試みた。現在、このデバイスを用いたヒトES/iPS細胞実験プロトコールの最適化を行なっている。更に細胞外微小環境因子の一つである可溶性因子を厳密制御を行うことができるμFDの開発にも成功し、査読付き投稿論文として発表した(Lab on a Chip 2011)。平成23年度後半からはHT-μFDを用いた実験の自動制御・観察プログラムの開発も進めている。また、並行してElectrospining法によるナノファイバーの作製し、細胞外微小環境ライブラリの作製にも着手した。特に生体材料由来ナノファイバーを細胞微小環境因子の一つである細胞外マトリックスとして用いることによって、多能性幹細胞(ES/iPS細胞)の自已複製維持システムの開発にも成功している。本研究で得られた実験結果を基に論文を執筆・投稿し、現在査読中である。
2: おおむね順調に進展している
本年度においては、(1)HT-μFDの開発とヒト多能性幹細胞への応用、(2)ナノファイバーのヒト多能性幹細胞への応用、が研究目的であったが、現在これに沿った研究進展状況である。現在では、得られた実験結果に基づいて数報の投稿論文を投稿中、または準備中であり、当初の計画通りの進展状況である。
平成24年度の研究推進方策に関しては、概ね研究計画書通りに進める予定である。しかし、今後の研究推進として重要であるのが、HT-μFDのヒト多能性幹細胞実験の最適化、および自動化である。これを行うことによって、実験をより加速度的に進展させることができ、平成23年度後半からこの課題に取り組んでいる。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) 備考 (2件)
Lab on a Chip
巻: 11 ページ: 2612-2617
10.1039/C1LC20258H
Angew.Chem.Int.Ed.Engl.
巻: 50 ページ: 3058-3062
10.1002/anie.201005740
http://www.chen.icems.kyoto-u.ac.jp/
http://kenlkamei.wordpress.com/