研究課題/領域番号 |
23681038
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川池 健司 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10346934)
|
キーワード | 自然災害 / 減災 / 水工水理学 / 都市水害 / 内水氾濫 |
研究概要 |
(1)地上の雨水排水過程の定式化と実験模型装置の作成 京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー内にある流体力測定装置を改修して、地上の氾濫水が地下の排水システムに流下する過程について実験を行った。この実験結果を用いて、氾濫水の排水流量を推定するモデルとしてオリフィス公式に基づいたモデルを提唱した。 つぎに、同じく宇治川オープンラポラトリー内にある内水氾濫実験装置を用いて、さまざまな条件の下で下水道管渠の開水路流れ、満管流れ、地上の氾濫を伴う流れを発生させた。そして、下水道管渠の各断面における水位、ピエゾ水頭、および地上の各地点の氾濫水位を計測した。この実験結果を再現するため、研究代表者らが従来から用いてきた地上氾濫と下水道管渠流れを結合したモデルを改良したモデルを適用した。モデルの改良点は、雨水ますを結合する側溝をサブモデルとして組み込んだこと、ならびに前述の実験から得られたオリフィス公式に基づく排水モデルを、各サブモデル間に組み込んだことである。この改良したモデルを適用することによって、従来モデルでは過大に評価されていた地上から下水道への排水流量および下水道から地上への逆流流量について、流量係数を操作することなく実験に近い結果を得ることができた。 (2)実領域における氾濫解析データの作成、貯留施設の情報収集 大阪市の中浜排水区における下水道管渠、ならびに排水機場に関する諸元データを収集し、それを解析に用いることができるよう加工・整理した。また、対象地域の地上の標高データも収集し、地上の地物にしたがって分割した氾濫解析格子の標高値を決定した。さらに、中浜排水区内に設置されている雨水対策貯留施設についてもデータを収集した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地上氾濫と下水道管渠流れの相互作用のモデル化について、予定通りに進めることができている。 また、解析モデルを現地流域に適用するためのデータ整備がほぼ終わっている。
|
今後の研究の推進方策 |
模型実験の再現計算において、まだ良好に実験結果を再現できていない部分があるので、数値解析モテルを改良するとともに、実験結果を詳細に分析して、地上、側溝、下水道の水位・ピエゾ水頭の間でどのような相互作用が起こっているのか考察する。 また、合流部やマンホールを含む下水道管渠の流れについて模型実験を行い、そこでのエネルギー損失を適切に表現することのできる数値解析モデルの開発に取り組む。 さらに、これまで開発してきた内水氾濫解析モデルを大阪市中浜排水区に適用し、解析を行う。
|