研究課題/領域番号 |
23681038
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川池 健司 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10346934)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自然災害 / 減災 / 水工水理学 / 都市水害 / 内水氾濫 |
研究概要 |
(1) 地上の雨水排水過程の定式化:京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー内の内水氾濫実験装置を用いて行った非定常の内水氾濫実験の再現計算において、数値解析モデルの改良を試みた。オリフィス公式・堰の流量公式の適用と、雨水ますを結合する側溝のモデル化に加えて、下水管渠の流入部、流出部におけるエネルギー損失を考慮することで、管渠各地点でのピエゾ水頭を精度よく再現することができた。その結果、地上での氾濫についても、最大の浸水位、浸水深の時間変化の波形、浸水開始時刻などの再現精度が向上した。 (2) マンホールを有する下水道管渠網の定式化:京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー内に、1ヶ所のマンホールによって3本の下水道管渠が結合している管渠網模型を作成し、数値解析モデルの検証データを取得した。上流端からの流入流量、側方管上流端からの流入流量、下流端の水位をさまざまに変化させたほか、マンホールの平面形状(円・正方形)、合流角度(45°、60°、90°)も変化させ、これらの要素を組み合わせて定常実験を行った。実験で得られた管渠の各地点での水位やピエゾ水頭を検証データとして、数値解析を行ったところ、流入部、流出部、マンホール部での各エネルギー損失を考慮することで、実験結果を良好に再現することができた。 (3) 実領域における氾濫解析:前年度に収集した対象領域のデータを解析可能な形に加工することで、内水氾濫の解析が実行可能な状況となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地上氾濫と下水道管渠流れの相互作用の予測モデルについて改良を行い、下水道管渠の圧力水頭の予測精度がかなり向上したため地上氾濫の最大浸水深や氾濫開始時刻の予測精度も向上した。また、マンホールを有する下水道管渠網における水位予測については、実験水路の作成・実験の遂行から予測モデルの開発および検証まで進んでいる。さらに、大阪市中浜排水区への適用については、データを整理することで内水氾濫の解析が可能な状況になっており、おおむね予定通りに進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
マンホールを含む下水道管渠流の模型実験の再現計算において、実験結果の考察と数値解析結果との比較がまだ十分に行われていないので、数値解析モデルを改良する。 また、これまで一連の研究を通して得られた都市水害モデルの各パーツを組み合わせて、大阪市中浜排水区に適用し、内水氾濫の再現計算とその精度向上について検討する。そして、この地域において雨水貯留施設の設置による浸水被害軽減効果についても検討する。
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