研究課題
平成26年度では、3年間の研究成果を基に、さらにタンパク質や細胞への糖鎖導入を精査したところ、様々な分子に展開可能なより汎用的な手法を実現した。すなわち、アザ電子環状反応を起こす基質である共役アルデヒドに対して、歪んだ8員環アセチレンを導入した。一方、平成25年度に実現した天然糖鎖誘導体にアジド基を導入した分子を調製した。これら共役アルデヒドと天然糖鎖誘導体を歪み解消のクリック反応により結合したのち、溶液をそのままタンパク質や細胞に対して作用させたところ、速やかに糖鎖を複合化させることに成功した。平成24年度に開発した二重電子環状反応を使用する方法よりも遥かに効率的であり、さらに極微量(マイクログラム程度)のサンプルにも十分対応できる。これまでに報告されている中で最も効率的な糖鎖複合化法であり、また、本法はPETポジトロン放出核種である68Ga-DOTAの標識にも展開できた。細胞のPETを行うための初めての効率的な標識法を開発することに成功した。一方、動物内の癌細胞への直接的な糖鎖導入や標識を試みるために、癌細胞に過剰発現するαVβ3インテグリンリガンドを利用した、電子環状反応による分子複合化反応を検討した。すなわち、まずリガンドとなる環状RGDyKペプチドに対してアセチレン部分を導入した後、歪み解消クリック反応により、共役アルデヒド部分へと結合させた。種々細胞を用いて電子環状反応を検討した結果、αVβ3インテグリンを過剰発現しないHep3B細胞では、細胞表面への分子導入が認められなかったのに対して、過剰発現するRAW264.7細胞では、その表面に対して効率的に分子を複合化することができた。動物内などの生体分子の夾雑物が存在する中でも糖鎖複合化や標識化を実現できる可能性を得た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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