研究課題/領域番号 |
23681051
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
富田 晋介 京都大学, 東南アジア研究所, 特任准教授 (60378966)
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キーワード | 国際研究者交流 / ラオス / 自然資源管理 / 土地利用 / 人口移動 |
研究概要 |
本研究は、いかに地域社会が持続性を維持してきたのか、グローバル化が急激に進行している中で地域社会が形成してきた持続性がどのような影響をうけ、そして今後どのように構築していくべきかという問題に対して、社会的少数集団の避難地帯としてのセーフティネット機能をもってきた山地利用の変遷から明らかにし、答えようとするものである。 この研究目的に対して、2011年度の研究計画は以下のようなものであった。5月に研究プロジェクトのスタートアップワークショップをラオスで開催し、関係者で今後の研究計画の打ち合わせを行う。7月~9月に広域調査を実施する。その結果をもとに、人工衛星画像の分析と村落のマッピングを行い、ベースマップを作成する。2月~3月に、それぞれの村落においてより詳細な調査を実施する。 実際には、当初研究対象として予定していたラオス北部から、隣接する中国南西部およびタイ国東北部まで調査地域を広く調査した。これは、ラオス北部が近年のグローバル化によって、隣接する地域との関係を再構築し、かつ過去におけるよりも活発な交流がみられたため、ラオス北部を相対化してみる必要がでてきたからである。 調査地域のうち、ルアンナムター県において移住と水田開拓過程について調査を行った。この地域は、ラオス北部において近年もっとも人口流入が大きく、土地利用も急激に変化している地域である。盆地ごとに、ムアンとよばれる小首長国が成立していたといわれてきたが、このルアンナムター盆地は水田開拓には十分な面積をもつにもかかわらず、過去100年ほどの居住歴しかなかった。また、ムアンはタイ系民族による統治国であるといわれてきたが、この地域は山地民の入植が早く、かつ様々な民族が継続的に流入してきた地域であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の目的にあげた対象地域について、比較的な視点から位置づけるために隣接する中国南西部およびタイ国東北部を調査する必要があった。よって、計画上は予定外であったこれらの地域における調査を行ったために、2011年度に行う予定であった調査成果のとりまとめと学会発表を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2011年度に行えなかった調査成果のとりまとめと学会発表を早急に行い、すみやかに研究対象地域における研究を続行する。また、当初の研究計画よりも、より多くの関連分野の研究者および現地研究者との連携をすすめ、研究成果の位置づけを明確にし、一般化につとめる。
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