研究課題/領域番号 |
23682001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
VANGOETHEM Ellen 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 准教授 (20513196)
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キーワード | 四神相応 / 『作庭記』 / 『〓〓内伝』 / 地理 / 青龍 / 白虎 / 朱雀 / 玄武 |
研究概要 |
本研究では、11世紀の『作庭記』に書いてある「四神相応」の概念に付与された解釈の起源について調査をおこなっている。『作庭記』に敷地条件として、東に川、西に大道、南に澤、北に山が明記される。しかし、もし「四神相応」の地勢でない場合、四方に特定の植物を配すれば「四神相応」になるとしている。 研究方法としては、「四神相応」の解釈が書いてある文献を探して、その内容を比較する。 23年度に、主に中国語の文献史料を調べた。まず、文淵閣四庫全書電子版を使用して、「玄武」や「四獣」というケーワードで『作庭記』・『〓〓;内伝』・『地理新書』とほぼ同一の「四神相応」の解釈を中国文献中に権認しようとしていた。それから、宮崎順子氏の「宋代の風水思想:『地理新書』を中心に」(關西大學中國文學會紀要24、2003年)からきっかけを得て、敦煌写本の研究も始めた。「S5645」と「P2615a」という敦煌写本には、「四神相応」の概念みたいな解釈が記されている。 しかし、集まった史料の中に必要条件、樹木、数字に違いがある。この違いがある理由についての研究も始めた。最後に、「四神相応」にはいろんなモデルがあったことも確認した。集まった史料はほとんどすべて個人の邸宅に関する「四神相応」モデルだが、実は、『地理新書』という中国文献にはもう一つのモデルが見つかった。軍壘地形についての一節には、個人の邸宅のように、北は丘、西は道、南は汚地ですが、東は河ではなくて、林である。これから、ほかのモデルも出てくるかも知れない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新しい史料を見つけられて、比較検証においても着実に進歩している。一つの論文は出版されて、もう一つは準備中(掲載確定)である。加えて、本研究のおかげでフンボルト大学ベルリンでの国際学会に招待されている。
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今後の研究の推進方策 |
『作庭記』・『〓〓内伝』・『地理新書』・敦煌写本等の徹底的な比較塗証を続ける。 それから、必要条件等の違いがある理由についての研究も続ける。 最後に、「四神相応」の新解釈がどの時代まで遡るかを考察することになる。
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