本研究では、11世紀の『作庭記』に書いてある「四神相応」の概念に付与された解釈の起源について調査をおこなっている。『作庭記』に敷地条件として、東に川、西に大道、南に澤、北に山が明記される。しかし、もし「四神相応」の地勢でない場合、四方に特定の植物を配すれば「四神相応」になるとしている。研究方法としては、「四神相応」の解釈が書いてある文献を探して、その内容を比較する。 25年度に、集まった史料(『作庭記』・『ほき内伝』・『地理新書・敦煌写本など)の徹底的な比較検証を続けた。それから、必要条件、樹木等の違いがある理由と最適地選択に必要な条件に関する文脈についての研究も続けた。「四神相応」の新解釈がどの時代まで遡るかも考察した。最後に、関連分野の研究者との意見交換するために研究会とシンポジウムを開催した。1月13日~15日に、Hillary Pedersen (ヒラリー・ピーダセン)博士を招待して、奈良・平安時代の信仰・儀式についての研究会を開催した。1月27日~29日に、風水に関するシンポジウム「Fengshui in Asia and Beyond: Origins and Diasporas」及び現地見学会を開催した。 一つの論文は出版されて、もう一つは平成26年6月ごろに出発する予定である。加えて、本研究のおかげで同志社大学のテュービンゲン大学同志社日本研究センターのワークショップ「聖地・霊的空間としての京都と関西」に招待されている。International Institute for Asian Studies Conference: Patterns of Early Asian Urbanism(ライデン、オランダ)にも「Adopting and Adapting the Paradigm: Gridiron Cities in Japan」と言うテーマについて発表した。
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