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2012 年度 実績報告書

内外伝世品の調査ならびに比較に基づく京都製蒔絵の歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23682003
研究機関独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館

研究代表者

永島 明子  独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, その他部局等, 研究員 (90321554)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワード蒔絵 / 漆 / 京都 / フランス / 美術 / 工芸 / 近代 / 国際研究者交流
研究概要

本研究の目的は近代を迎えた京都で作られた蒔絵の特質を捉まえることと、在外研究者との交流を深めることにあるが、昨年度のスイスでの調査に引き続き、本年度は東京国立博物館、東京藝術大学美術館、都内某美術館にて白山松哉とその弟子たちによる蒔絵の作品数十点を調査することができ、おぼろげながら近代東京の蒔絵技法の傾向と京都の伝統技法とのちがいを知ることができた。また、京都市内個人蔵の蝶形卓と白鶴美術館所蔵の蝶形卓を調査研究し、近代の奈良製の蒔絵螺鈿についての考察も深めた。
秋にはボストン美術館やハーバード大学美術館に所蔵されている蒔絵作品のうち100点近く調査することができ、19世紀末から20世紀初頭にかけてビゲローや岡倉天心らが蒐集した蒔絵の実態と、六角紫水による未刊の蒔絵図録原稿を確認できた。
冬にはフランスのアントワーヌ・ヴィヴネル美術館、ルーヴル美術館、ディジョン美術館にて計275件の漆器を調査し、日本の開国前に収集されたことが明確なティエール大統領のコレクションや、18世紀フランスにおいて蒔絵を模造した工房のストックなどの新資料を通して、ヨーロッパにおける京都製蒔絵の受容のありようをより鮮やかに知ることができた。またフランス19世紀の美術コレクションについて研究をパリで行なっている若手研究者を京都へ招聘し、その分野の情報を提供してもらう一方、明治京都の工芸界に関する文献情報を提供するなど情報交換を進めることができた。
海外調査では、漆器の専門家が少ないこともあり、日本製の蒔絵、中国製の描金、フランス製の模造漆であるヴェルニ・マルタンの区別があいまいなまま作品が収蔵されている場合もあり、一研究者の意見ということではあるがその区別やおよその時代を伝えることにより、所蔵館にも喜んでもらえたように思う。新資料等については、申請者の勤務先の次年度の研究紀要に報告を掲載する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画どおり、年に二回の海外調査を決行し、年に一名の在外研究者の招聘を行なうことができた、また、調査内容についても、述べ15日程度の間に400件近い作品を調査して顕微鏡画像を含む約6300カットの画像データを収集することができたため、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

申請時の計画のとおり、25年度はイギリスとフランスの美術館へ漆器の調査に赴き、フランス、パリ装飾美術館の学芸員を招聘して日仏の工芸に関する研究交流を行なう予定である。また、これまでの調査成果に基づく研究論文を2編、公刊する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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