本研究の目的は、日常生活上のコミュニケーションにおいて誤用(言い間違い)があった場合、その情報をどのように適切な情報に修正するのか、そのメカニズムを解明することであった。 本年度は、心理実験により、誤りのある語(例:「ゆうばんびんごう」、正しくは「ゆうびんばんごう」)、誤りのある語が含まれる文(例:「健は"ゆうばんびんごう"を書き忘れた」、正しくは「健は"ゆうびんばんごう"を書き忘れた」)をそれぞれ呈示した際の正誤判断、及び反応時間を測定した。文については文節呈示で誤りのある語を読んだ時点での反応時間の測定であった。 その結果、正答率については語と文で有意な差はなかったが、反応時間については文の方が有意に長かった。 本結果は、文の処理は語に比べ、統語処理を行わなければいけないために短期的記憶に負荷が掛かり、誤り語の処理時間に時間を要したと考えられる。また、誤った言語情報は文を最後まで理解した後に修正されるのではなく、寧ろリアルタイムに修正されていることが示唆される。
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