研究課題/領域番号 |
23682012
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
庄田 慎矢 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50566940)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 東北アジア / 金属器 / 考古学 |
研究概要 |
本研究は、近年暦年代の根本的な見直しが進む東北アジアの紀元前2千年紀から1千年紀における金属器拡散のシナリオを再構成し、同地域における金属器受容の特性を、世界の他地域との広い視野からの比較によって、人類史的に位置づけようとするものである。3年目となる2013年度は、金属器の拡散とともに変化する石製装身具に注目し、朝鮮半島の資料を中心にその種類や製作技術の検討を行い、その内容を論集『青銅器時代の考古学』(韓国考古環境研究所編)や図録『先史・古代玉の世界』(釜山市立福泉博物館編)に掲載した。また、和歌山県すさみ野市立野遺跡出土の土器付着物や出土自然木に対する年代測定を実施し、日本列島内における縄文時代から弥生時代への移行の地域差について検討した。さらに、韓国出土炭化米の窒素・炭素安定同位体比測定を行い、青銅器時代の前期の稲作が焼畑によるものであったという従来の仮設の反証を試みる材料を収集した。一方、2年目の課題であった、金属器の拡散とともに出現したと考えられるロシア沿海地方出土の武器形石器について、その写真・実測図を集成したカタログ"Weapon-Shaped Stone Tools from the Russian Far East: the Museum Collections"を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目はヨーロッパないしロシアにて行う予定であった海外調査を行うことはできなかったものの、資料収集や成果の公表は順調に進めることができた。また、放射性炭素年代測定・年輪年代測定・安定同位体比測定など、自然科学的手法を取り入れた分析法を用いて議論を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるため、研究の総括を以下の視点から行う。(1)放射性炭素年代測定・年輪年代測定・安定同位体比測定など分析結果の解釈のための考古学的検証を行う。また、放射性炭素年代測定については、対象とする時期の年代決定において最大の障害となっている「2400年問題」に対し、ウイグルマッチングを用いた年単位の高精度年代測定による克服をめざす。(2)考古学理論の研究が進むヨーロッパ内の各地におけるケース・スタディとの比較研究を行う。以上の総括の後、学術会議での発表、論文作成を行う。
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