研究実績の概要 |
主観的効用の計算に関わる部位の同定および、それらの個人属性による違いが出る部位の同定を行い、それらの活動を外部から人為的に操作する実験として、fMRIによるニューロフィードバック実験の検討と実験を実施した。主観的効用による意思決定に関わる部位として線条体の活動を反映するフィードバック信号をリアルタイムに被験者に表示し、被験者はそれをもとに自身で線条体の活動を変化させる。フィードバック信号は目標とする脳活動との類似度を用いた。4日間のトレーニングの後、意思決定に関わる行動指標の変化を調べた。6名の被験者に実施した結果、行動指標の変化が5名に見られた。生物学的属性を人為的に操作した状態において、主観的満足度を報告させる「満足度」と「主観的効用」モデルから予測される「満足度」を比較し、新しい幸福度の指標としての評価を行うところまでは実施できていない。したがって4年間の研究目標のうち、目標1「経済的な満足度を測定する実験課題の作成および経済学的, 社会的, 生物学的属性データの収集」と目標2「経済学的・社会的・生物学的属性と満足度に関連する脳活動との関係を明らかにする」は達成できたが、目標3「生物学的属性の操作による「主観的効用モデル」の幸福度指標としての評価」は一部の達成となった。
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