研究課題/領域番号 |
23683006
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 准教授 (20339568)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マイクロファイナンス / マイクロクレジット / アメリカ / 貧困 / 移民 / 難民 / 金融排除 / ソーシャル・メディア |
研究概要 |
本研究は、先進国におけるマイクロファイナンスの現状を調べ、これらの国での成果を参考にして、日本にマイクロファイナンスを導入する可能性を明らかにし、貧困削減に資することを目的としている。平成24年度は統計資料の分析、マイクロファイナンス機関のリスク管理・コスト管理等について研究し、成果発表を行う計画であった。 統計資料の分析に関しては、マイクロファイナンスがどのような人々に利用されているのかを分析し、貧困層だけでなく移民・難民などにも多く利用されていることを明らかにした。この成果を”Diversity of Microfinance Demographics in the US”と題して論文を投稿した(現在査読中)。 リスク管理・コスト管理に関しては、フィラデルフィア市内のマイクロファイナンス機関を事例に、貸し倒れリスクを緩和するために利用者への助言指導を実験的に行った。その結果、返済の遅延していた利用者に一定の改善がみられた。この成果を”Technical Assistance for Delinquent Clients”と題してUrban Affairs Association(都市問題学会)で2013年4月に発表した。 国際比較に関しては、ヨーロッパ諸国のマイクロファイナンスに関する文献を収集した。2013年7月にイギリスのマイクロファイナンスを調査予定である。 上記のほか「アメリカにおける金融排除、および金融統合におけるマイクロファイナンスの役割」を学術雑誌に投稿した(現在査読中)。 また、フィラデルフィア市内の非営利組織を事例に、ソーシャル・メディアを用いたマーケティングを実験的に行った。この成果をAssociation for Nonprofit and Social Economy Research(非営利・社会的経済研究学会)で2013年6月に発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の計画は大部分達成した。マイクロファイナンス機関と政府・銀行等との提携については充分な調査ができなかったものの、その他の研究計画は予定通り実施できた。 アメリカの金融排除に関する研究を行って論文にまとめ、またソーシャル・メディアによるNPOのマーケティングに関する研究も研究支援経費を用いて行うなど、当初の計画にはなかった研究を進めることができた。さらに、翌年度に2つの学会大会で研究成果を発表することが決まり、また2つの学会誌に論文を投稿するなど、成果発表も着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
サバティカルの延長に伴い、アメリカ滞在予定期間が平成25年7月までとなった。これに伴い、本研究は平成25年7月まで主にアメリカにおけるマイクロファイナンスの調査を行い、あわせて国際比較のため、7月にはイギリスに短期間滞在してマイクロファイナンス機関を訪問し、現地調査を行う計画である。平成25年8月に日本に帰国した後、平成25年度後半から平成26年度にかけて、日本と韓国におけるマイクロファイナンスの現状を調査する。 平成25年前半(4-7月)は2つの学会大会で研究成果を発表するとともに、マイクロファイナンスの成果評価に関する事例研究、社会的企業に対する資金提供、イギリスのマイクロファイナンスの現状、およびNPOのソーシャル・マーケティングについて調査を行う。平成25年度後半は主に韓国におけるマイクロファイナンスの情報収集を進め、調査計画を立てる。
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