本年度は韓国のマイクロファイナンスの調査に焦点を当てるとともに、研究成果の発表にも尽力した。 「1.韓国におけるマイクロファイナンスの実態調査」については、韓国ソウル市にて聞き取り調査を行った。韓国のマイクロファイナンスに関心を寄せる研究者やNPOバンクの実践家、学生が調査に同行した。9月3日にはソウル市庁舎内にて、「2014韓日社会的金融ミニシンポジウム」を開催した。 「2.日本におけるマイクロファイナンスの実態調査」については、公益社団法人難民起業サポートファンドや、マイクロファイナンス事業の準備をしている特定非営利活動法人日本リザルツを訪問し、聞き取り調査を行った。 研究実施計画では日本におけるマイクロファイナンスの持続可能な経営モデルを検討することとしていたが、日本の状況がなお萌芽的な発達段階で極めて流動的なことと、筆者の研究が海外の実態調査に焦点を当ててきたことから、日本的な経営モデルの検討は今後の課題として引き続き検討したい。 「3.成果発表」については、社会政策学会第128回大会(6月)にて、アメリカでのマイクロファイナンス研究を整理して発表した。この発表を加筆修正して、『季刊個人金融』誌に連載した。イギリスで行ったコミュニティ開発金融機関(CDFI)の調査を、ARNOVA学会大会(11月)にて発表した。この発表をもとに、『経営論集』(明治大学経営学研究所)に論文を掲載した。韓国のマイクロファイナンスについては、報告書を刊行するとともに、日本NPO学会第17回年次大会(3月)にて、調査団のメンバーとともにパネルセッションを開催した。
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