本研究の目的は,上場企業の経営者が真摯な態度で経営活動をおこない,その経営活動の結果を財務報告を通じて中立的かつ誠実に開示することが,情報作成者にとっても有意義であるという仮説を,企業価値向上という観点から実証的に確認することであった. 研究期間内に,定時株主総会の活性化が観察された企業,温室効果ガス排出量の少ない企業,さらに人件費の高い企業の企業価値が高いことを明らかにした.すなわち,これらの行動が短期的な利益を減少させる企業行動だとしても,中長期的な業績を反映する企業価値を高める効果があると投資家が認識していることになる.さらに,これらの項目を統合報告において開示すべきであると提案した.
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