研究課題/領域番号 |
23683009
|
研究機関 | 公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 |
研究代表者 |
澤岡 詩野 公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団, その他部局等, 研究員 (40385539)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | コミュニケーション / 社会関係 / ICT / 中高齢者 / 都市高齢者 / 社会的孤立 |
研究概要 |
本研究は、高齢期の社会的ネットワークおよび社会活動を維持していくうえでのインターネットの役割を明らかにし、活動能力が低下しても社会とつながり続けられる豊かな高齢社会を実現するために必要な知見を得ることを目的としている。 研究の一年目には、社会関係や活動の縮小が危惧される都市部に居住する後期高齢者層(前期高齢期前後からICTを活用してきた定年退職者)を対象に、加齢のプロセスとICTの役割について質的調査を行った。年齢を重ねていくなかで、社会とつながり続けるための交流媒体としてICTを位置づける人がみられる反面、ほとんど交流媒体としてのICTを使わなくなっている人もみられた。これらの結果をもとに、二年目にあたる本年は、東京都江戸川区に居住する一般の中高齢男女を対象に、訪問面接によるアンケート調査を実施した。計画当初、東京都中野区を調査対象と想定していたが、5年前から申請者が孤立防止などで関わる江戸川区役所より本調査研究に対する理解が得られ、地域特性を理解している当該地域の方がデータを分析するうえでも最適と判断し、対象地域を変更した。 江戸川区を50の地点に分割し、各地点から16名づつの中高齢者を抜き出し、合計800名を対象に、調査依頼状を発送した。このなかで、協力の返信のあった311名を対象に、日常的な交流状況、電子メールを介して交流する5名、心理的状況について、調査員が訪問面接により調査を行った。回答者の8割が携帯電話を有し、4割がパソコンを保有しており、5割が交流媒体として電子メールを活用していた。相手については配偶者や子どもが多く、また親族以外では友人、関わる団体やサークル、職場関係の人が多く含まれていた。 これらの結果をより詳細に分析し、三年目は一年目の質的調査の結果と統合した検討を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
より正確かつ緻密なデータを得るために、訪問面接調査の準備に計画より長い時間を費やしたため、調査実施が年明けになった。このため、年度内に、調査データの予備的な分析が完了できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで行った、社会関係や活動の縮小が危惧される後期高齢層を対象に,加齢のプロセスとICTの役割についての質的調査(一年目)、中年期(55~64歳)および前期高齢期(65~74歳)の都市住民を対象に,インターネットを介した交流と社会活動の実態についての量的調査(二年目)の結果を総合し、考察を行う。 その結果を研究実績報告書(一般向けの簡易レポートを含む)にまとめるとともに、国内外の学会での発表・投稿の準備をすすめる。 同時に、次年度以降の研究計画の策定を進める。
|