研究課題
本研究の目的は、人々が2つの社会的学習戦略を適応的に使い分けている可能性を検討することにある。これに先立ち、本年度はまず研究の出発点となる多数派同調戦略とベストメンバー戦略の理論的比較を行った。特に、幅広いパラメータ領域において多数派同調戦略がベストメンバー戦略の成績を上回ることを示したHastie & Kameda(2005)のコンピュータ・シミュレーションをレプリケートし、この知見はシミュレーションの中に存在する幾つかの恣意的な前提に大きく依拠したものであることを明らかにした。続いて実験室実験から得られたデータに基づいて名義集団分析を行い、この知見が現実の人間において成立することを実証した。また、複数の質問紙調査を通じて、生態学的妥当性を満たす知識判断型課題においては、ベストメンバー戦略が多数派同調戦略を上回ること、それは前述の理論的分析の枠組みから説明可能であることを実証した。
2: おおむね順調に進展している
計画は予定通り進んでいる。
平成24年度も計画通り研究を実施し、特に、2つの社会的学習戦略を人々が適応的に使わけているという主要仮設を実証的に検討する。
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Letters on Evolutionary Behavioral Science
巻: 2 ページ: 24-27
doi:10.5178/lebs.2011.15