研究課題/領域番号 |
23683015
|
研究種目 |
若手研究(A)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
實藤 和佳子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (60551752)
|
キーワード | 社会的認知 / 発達障害 / 乳幼児 / 縦断研究 |
研究概要 |
本研究では、生後3年間の社会的認知の定型発達過程とその逸脱について、縦断的かつ実証的に解明することを目的とする。本年度は被験者の募集を行い、発達及び関連要因に関する実験・検査を実施した。被験者数は目標人数にまだあと少し達しておらず、引き続き被験者募集をしている状態であるが、協力を得られた対象者については順調に実験をすすめている。 本年度は、特に発達初期における自己理解について新たな知見が得られた。 乳児が示す自己理解に関する先行研究では、視覚的な自己像と自己に関する感覚がいつ頃から一致し始めるのかが検討されてきた。具体的には、被験児の脚が映し出されたオンライン映像と数秒(以内)の遅延が挿入された映像を同時に提示して、いつから遅延映像を選好するかについて実験がなされてきた。そして、生後7ヶ月以前には遅延映像への選好が確認されないことから、自己遅延映像を刺激とした際の自己理解は生後7ヶ月頃みられるとされている。しかし、先行研究において、自己理解の発達水準が年齢によって異なることは仮定されてきたが、身体部位によって異なる可能性については仮定してこなかった。今回、4ヶ月児に、自己の顔や脚を刺激として同様の選好注視実験を実施したところ、自己の顔が提示された場合は自己遅延映像(3秒)をオンライン映像よりも長く注視した。一方、自己の脚が提示された場合はいずれにも選好がみられず、先行知見を支持する結果となった。これらの結果から、自己理解は従来仮定されてきた時期よりも早く見られる可能性に加え、自己の知覚が身体部位によって発達的なギャップを持つ可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者募集について目標人数にはあと少し到達できていないが、募集は継続しており、近いうちに到達することが予測される。既に応募があった被験者については、当初の計画通り、順調に実験や検査がすすんでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点ではまだ目標人数に達成していない、という問題点がある。早く被験者の目標人数を達成するため、近隣住民向けの新聞に被験者募集のお知らせを広告掲載する予定である。あと一度の広告で目標人数を達成する見込みである。 研究計画の変更は予定していない。適宜、実験補助や分析補助の人員を増員しながら、更に新たな知見を創出する予定である。
|