研究課題/領域番号 |
23683015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
實藤 和佳子 大阪大学, その他の研究科, 研究員 (60551752)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会的認知 / 発達障害 / 乳幼児 / 縦断研究 |
研究概要 |
本研究では、生後3年間の社会的認知の定型発達過程とその逸脱について、縦断的かつ実証的に解明することを目的とする。本年度は最終の被験者募集を行い、昨年度に引き続き、発達及び関連要因に関する実験・検査を実施した。被験者数は目標人数に達さなかったが、現時点の人数はデータ分析に十分であることから、被験者募集は終了し、協力を得られた対象者について順調に実験をすすめている。 本年度は、特に模倣の定型/自閉症発達について新たな知見が得られた。 模倣発達に関する先行研究では自閉症における模倣の困難が示されてきたが、その発達的起源については明らかではなかった。そこで、本研究では、生後11・13・15・17ヶ月時点で模倣課題(対象物操作、ジェスチャー、無意味動作)を前方視的に実施し、後にADOSで自閉症スペクトラムと判定された子どもと判定されなかった子どもとの発達軌跡を比較した。その結果、定型発達において、11ヶ月時点では、提示動作の意味の有無にかかわらず身体動作模倣はほとんど観察されなかった。その後、17ヶ月まで身体動作より対象物を用いた動き、そして、無意味動作より意味のある動作をより多く模倣した。一方、後に自閉症の特徴を呈した乳児は、少なくとも生後13ヶ月時点において定型発達と比較して模倣が少なかった。ただし、観察されやすい模倣の種類は定型発達と同じであり、緩やかとはいえ模倣の発達も確認された。これらの結果は、自閉症発達の起源が1歳前後にある可能性、乳児期における自閉症発達は定型発達と比較して「非定型」というより「遅延」に近いといえる可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の異動に伴い、被験者は目標人数には少し及ばないが、現時点での人数でデータ収集・分析・解釈が十分に可能であるため、現状のまま研究を続行する。既に応募があった被験者については、当初の計画通り、おおむね順調にデータ収集がすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更は予定していない。適宜、実験補助や分析補助の人員を増員しながらデータ収集及び分析を進めて、更に新たな知見を創出する予定である。
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