研究課題/領域番号 |
23683023
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
北村 友人 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (30362221)
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キーワード | アジア / アフリカ / 高等教育 / 地域化 |
研究概要 |
本研究は、アジア・アフリカにおける高等教育の「地域化」がどのように進展しているのか、そして地域間でいかなる相違がみられるのかについて、各国の事例も踏まえて実証的に明らかにすることを目指している国際比較研究である。本研究では、(1)アジアとアフリカでの実地調査ならびに国際機関等における訪問調査、(2))アジア・アフリカの高等教育の地域化に関する指標開発・データベース化、(3)研究成果の公表・発信(論文・書籍の執筆、学会発表、国際会議の開催)という、主に3つの取り組みを進めている。急速に域内連係を深めているアジア・アフリカの高等教育の現状について、それぞれの域内の状況を現地調査にもとづき明らかにするとともに、国際的な地域間の比較検証を行うことが、本研究の独創的な点である。また、アジア、アフリカ、欧米の研究者・実務家たちと連携して研究を進めることで国際的な視点を取り入れるとともに、学術的な観点からのみではなく政策的・実務的な観点からも高等教育の地域化について検証することは社会的な意義がある。 平成23年度は本研究の初年度であり、(1)高等教育のグローバル化と地域化に関する先行研究のレビューと分析枠組みの構築、(2)海外の高等教育機関への訪問調査の準備・実施、(3)国内外の研究協力者との研究打合せや意見交換・情報収集、という3つの研究活動を行った。先行研究をレビューするにあたっては、高等教育の国際化と質の問題に焦点をあてたde WitとKnightによるOECD(1999)をはじめ、国際的な視点から論じた諸研究を理論的なベースにしつつ、TeferraとKnight編(2008)のようにアフリカ地域に焦点を絞った諸研究と、FindlayとTierney編(2010)をはじめとするアジア地域についての諸研究とを幅広くみていった。そうしたレビューの成果の一部は平成23年度にすでに発表したが、さらに現在、日本語ならびに英語で論文として執筆中であり、平成24年度に発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度には、先行研究のレビューと分析枠組みの構築をある程度行うことができたうえに、海外調査(とくにアジア地域)を実施して多くのデータを収集したからである。海外調査では、アジア開発銀行が主催したアジア太平洋地域の高等教育の国際化に関するシンポジウムへの出席、アセアンの主要機関ならびにタイの主要大学への訪問調査、カンボジアでの現地調査を実施し、さまざまな角度からのデータを入手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画ではアジア・アフリカの大学に対する質問紙調査を予定していたが、調査項目の絞り込みを行ううえでも、個別具体的なケースのさらに詳細な分析が欠かせないことが初年度のレビュー研究で明らかになった。そこで、当初の研究計画を若干修正し、より具体的なケースについての調査を実施していくこととした。そのために、平成23年度はフィリピン、タイ、カンボジアで現地調査を実施したが、平成24年度はさらにアジアでの現地調査を強化する予定である。 また、「地域化」の問題を考えるうえで「サブ地域」の問題についても目を向けることの重要性が明らかになったため、カンボジアでの調査を継続するなかで、インドシナ地域における「サブ地域化」の現状に対して理解を深めていく予定である。 当初は、アジアとアフリカの調査を並行して進めていく予定であったが、まずはアジア地域の現状について明確に把握することが必要であることが研究を始めて明らかになったため、今年度はアジアを主軸に研究を進めていく。そのうえで、平成25年度にはアフリカでの調査を本格的に実施する予定である。 なお、海外調査の実施にあたっては、Sauwakon Ratanawijitrasin博士(東南アジア教育大臣機構・高等教育研究センター所長)、James Williams准教授 (ジョージ・ワシントン大学)、Chhinh Sitha博士(王立プノンペン大学)、廣里恭史博士(アジア開発銀行)などの協力をすでに得ているが、平成24年度も継続してこれらの研究協力者たちとのネットワークを活用しながら調査を進めていく予定である。
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