研究概要 |
(1) 零条件を満たす非線形項を持つ波動方程式の外部問題を考察し、コンパクトな障害物の捕捉的境界面において局所的な消散効果が起こる場合に、小振幅な時間大域解が存在することを示し、論文にて発表した。 (2) ハートリー型の非線形項を持つディラック方程式に対して、前許容対を使用したストリッカーツ評価を用いて散乱理論を示し、論文にて発表した。 (3) Lindblad, Rodnianski による重み付きエネルギー評価と、Keel, Smith, Sogge によるエネルギー評価は Hoermander 型の各点評価式と組み合わせることで、零条件を満たす非線形波動方程式の初期値問題に対して、既存の証明法よりも簡易な証明を与えることを示し、論文および学会にて発表した。関連する外部問題についても考察されている。また、Lindblad, Rodnianski の重み付きエネルギー評価を次元とパラメーターについて拡張を試み、その応用について考察した。 (4) 逆2乗型の重みの付いた非線形項を持つ消散型波動方程式の初期値問題に対して、冪乗型非線形項と指数関数型非線形項に対するエネルギー解の存在理論を考察した。小振幅の時間大域解、および、方程式においてエネルギー保存が成り立つ場合の大振幅の時間大域解について得られた結果の一部を学会にて発表した。 (5) ド・ジッター空間におけるクライン・ゴルドン方程式の初期値問題に対して、エネルギー空間における可解性を考察した。線形評価におけるエネルギー法の観点から、放物型方程式としての性質が明らかになってきたので、次年度も研究を継続する。
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