研究課題/領域番号 |
23684010
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
井上 昭雄 大阪産業大学, 教養部, 准教授 (30411424)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 宇宙再電離 / 銀河進化 / 銀河形成 / 輻射輸送 |
研究概要 |
宇宙再電離現象とは、宇宙初期に現れた天体からの紫外線により銀河間空間がほぼ完全電離状態に至ったという現象である。これは赤方偏移z=10から6付近で起こったと考えられているが、①その電離度の時間・空間進化の理解と②主要光源の特定が課題として残っている。本研究はこれら二つの課題に対して独自のアプローチを試みる。まず、①に対して、すばる望遠鏡の次期主力カメラHyper Suprime-Cam (HSC)によるLyα輝線銀河(LAE)探査に加えて、ほぼ同じ赤方偏移のライマンブレイク銀河(LBG)の探査を行い、その空間分布を比較する。それにより電離度空間分布を世界で初めて観測的に描き出す。次に、②に対して、宇宙再電離数値シミュレーションを用いて、HSCによるLAEおよびLBGの探査結果を再現することで、電離光源に対する制限を与える。 平成23年度は、HSCの多色測光画像から赤方偏移z=6.6付近のLBGを選択するための、特注の中帯域フィルターが持つべき仕様を詳細に検討した。メーカーの都合により製作が平成24年度にずれ込んだものの、無事製作することができた。 並行して、宇宙再電離数値シミュレーションコード開発の準備を行なった。また、遠方銀河のスペクトルの理論的研究と、遠方銀河の電離光子放射率の観測結果とその解釈モデルについての研究を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、HSC用中帯域フィルターの製作が、メーカーの都合により1年遅れた。また、HSCの完成が遅れ、供用開始時期が大幅に遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
HSCの開発・供用の遅れは、こちらとしては辛抱強く待つしかない。平成26年度から供用開始の見込みであり、できるだけ早期に観測時間を得られるよう準備を進めておく。一方、数値シミュレーション開発の方を先行して進め、観測が成功し次第、すぐに成果を出せるようにしておく。
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