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2012 年度 実績報告書

シグマ陽子散乱断面積測定によるバリオン間力の斥力芯の起源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23684011
研究機関東北大学

研究代表者

三輪 浩司  東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50443982)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードストレンジネス核物理
研究概要

本研究では、核力の斥力芯の起源を解明するために、その起源の一つとされるクォーク間でのパウリ斥力があらわに現れるシグマ陽子間の相互作用をシグマ陽子散乱の微分断面積を測定することにより明らかにすることを目的としている。そのために、シグマ粒子を大量に生成するために、10MHzの高パイ中間子ビーム強度下で実験を可能にすること、およびシグマ陽子散乱で生じる陽子を検出するアクセプタンスの大きな散乱陽子検出器(円筒形ファイバー検出器(CFT)とBGOカロリメーターからなる)を製作することが大きな課題である。
BFTに関しては320本のファイバーを平面上に並べた位置検出器を開発し、実際にK1.8ビームラインにインストールを行った。従来の10倍以上のビーム強度である6MHzのビーム下においても、99%の高い検出効率および0.78nsという十分な時間分解能を有することを確認した。
散乱粒子検出器に関しては、まずBGOおよびCFTのプロトタイプを製作し、性能を評価した。BGOに関しては、80MeVの陽子を照射して、1.2%(σ)のエネルギー分解能を得ることができ、十分に要求される性能(3%)を満たすことを確認することが出来た。またCFTは、実機としては8層構造を予定しているが、まずファイバーを円筒形に組み上げることの構造的なR&Dを行うために、3層からなるプロトタイプをまず製作し、検出器として製作の実現の可能性から性能の評価を行った。特にファイバーを螺旋状に配置するという位置検出器は初めての試みであったが、効果的に位置決めジグを配置することにより、製作を可能にすることが出来た。ファイバーの読み出しとしてはMPPCを用いており、全体で1200チャンネルの読み出しをEASIROCボード(ver1)を用いることで可能とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、以下の2つが主な開発事項となる。1. 高強度ビームを使いこなすための検出器開発、および2. 散乱陽子検出器の開発である。我々が実験をする予定のJ-PARCの遅い取り出しのビームの時間構造が非常に悪く、時間的にビーム強度の疎密が激しくなっており、ビーム強度が瞬間的に密なときには平均的なビーム強度の10倍のビームが出てしまうという問題があり、ビーム強度が0.5MHzに制限されていた。そのため、平均的に10MHzのビームを使用するためには、瞬間的に100MHzの強度に達するということになる。このため、1.の高強度ビームのための検出器開発に重きを置いて開発をおこなった。結果的にBFTをインストールすることによって現在でも平均的に6MHzのビームを使用することが出来る所まで飛躍的に向上することが出来た。一方で、2.の散乱陽子検出器の方が少し遅れてしまい、プロトタイプのデザインおよび製作にとどまってしまった。

今後の研究の推進方策

高強度ビーム用のビームラインファイバー検出器の開発に関しては既に完成させることが出来たので、今後は散乱陽子検出器の開発を中心的に行う。製作した散乱陽子検出器のプロトタイプを用いて、まず陽子陽子散乱実験を行い、その性能評価を行う。ここで、検出効率や散乱事象の同定能力および粒子識別能力等を評価し、散乱陽子システムとしての性能評価を行い、実機製作に向けての改善点等を洗い出すことを行う。また実機の散乱陽子検出器の開発に向けて、1. 円筒形ファイバー検出器の実機のデザインおよび製作、2. 実機で使用する24本すべてのBGOカロリメーターのエネルギー分解能等の測定、3. 円筒形ファイバー検出器で用いる約5000チャンネルのMPPCを読み出すために、読み出しボードの集積化を進める ことを今後の検出器開発の中心に据えて行っていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Development of a tracking detector system with multichannel scintillation fibers and PPD2012

    • 著者名/発表者名
      R. Honda, S. Callier, S. Hasegawa, M. Ieiri, Y. Matsumoto, K. Miwa, I. Nakamura, L. Raux, C. De La Tallie, M. Tanaka, T. Uchida, K. Yoshimura
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A

      巻: 695 ページ: 206-209

    • DOI

      10.1016/j.nima.2011.10.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The development of the multi PPD readout electronics with EASIROC and SiTCP2012

    • 著者名/発表者名
      R. Honda, K. Miwa, I. Nakamura, M. Tanaka, K. Yoshimura, T. Uchida, M. Ikeno
    • 雑誌名

      Proceeding os Science

      巻: PoS(PhotoDet2012) ページ: 031

    • 査読あり
  • [学会発表] Status of Sigma p scattering experiment (E40) and Development of beamline fiber tracker2012

    • 著者名/発表者名
      松本祐樹
    • 学会等名
      Korea-Japan workshop on nuclear and hadron physics at J-PARC
    • 発表場所
      ソウル大学
    • 年月日
      20120922-20120923
  • [学会発表] The development of the multi PPD readout electronics with EASIROC and SiTCP2012

    • 著者名/発表者名
      中村勇
    • 学会等名
      International Workshop on New Photon Detectors PD12
    • 発表場所
      オルセイ(フランス)
    • 年月日
      20120613-20120615
  • [学会発表] TDC情報を用いたK中間子選択用の2nd level triggerの開発2012

    • 著者名/発表者名
      三輪浩司
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2012-09-11
  • [学会発表] Experimental proposal of Sigma p scattering at J-PARC2012

    • 著者名/発表者名
      三輪浩司
    • 学会等名
      新学術領域「素核宇宙融合」×「新ハドロン」クロスオーバー研究会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2012-07-12
  • [学会発表] MPPC-arrayを用いたBGOカロリメーターの性能評価

    • 著者名/発表者名
      赤澤雄也
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      京都産業大学
  • [学会発表] New experimental plan of Sigma p scattering experiment at J-PARC

    • 著者名/発表者名
      三輪浩司
    • 学会等名
      The 8th JSPS Core-to-Core Symposium on Strangeness Nuclear Physics
    • 発表場所
      バルセロナ(スペイン)

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公開日: 2015-05-28  

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