研究課題
インフレーション宇宙の検証は宇宙論最大の課題である。本研究の究極目標はインフレーションの直接証拠となる原始重力波の検出である。その最良の方法は、原始重力波による時空の歪みによって、宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) 偏光分布に生成される渦パターン「Bモード」を検出することである。本研究は「小型地上観測実験装置を完成させ、B モードの発見をめざし」、詳細研究をおこなうための将来実験に向けたテクノロジーを確立することを目的とする。従来実験にはない独自のアイデアで、CMB 偏光 Bモード観測で世界の最前線に踊りだす。小型地上観測実験 GroundBIRD の実験装置を完成させ、物理観測へ向けた国内でのテスト観測を行なう。独自のアイデアで、小型ながらも従来実験を凌駕する性能を達成する。特に、非接触型高速回転スキャンの実現により、1/fノイズの影響を除去して検出器性能を 100%引き出し、地上実験最大の観測領域を達成する。実験装置をユニット化することにより効率的に開発を進める。本研究では実験成功の鍵となる高速回転スキャンユニットの開発を中心に開発をすすめ、続いて、コンパクトに検出器を実装する小型クライオスタットの開発、最終年度には装置全体を組み上げ、完成させる。そして、国内でのテスト観測により問題の洗い出し、改善をして、研究期間後の物理観測に向けた完成度を確認する。平成24年度は前年度に開発した高速回転スキャンユニットの原理検証、長期安定性試験を行った。さらに、クライオスタット開発に着手した。特に熱計算にもとづき、熱放射を防ぐためのフィルターの仕様を策定した。
3: やや遅れている
当初、クライオスタットの開発は平成24年度中に完了する予定だったが、平成25年度まで開発がずれ込んだ。主な理由として、ヘリウムソープション冷凍機の納入(別予算にて購入)が遅れたこと、窓径と光学パスのクリアランスを評価するシミュレーションの開発に遅れたことが挙げられる。上記の開発の遅れの原因となった問題は平成24年度中に解決しており、平成25年度で遅れを取り戻せる見込みである。
クライオスタットを完成させ、当初の予定通り超伝導検出器を搭載したテスト観測を行う。年度前半に、ソープション冷凍機を搭載した冷却試験、光学系を含めたメカニカルな部分の開発を行う。年度中盤には、超伝導検出器を搭載した冷却試験、信号読み出し試験をおこなう。テスト観測に際しては、実験装置の動作チェックのみならず、本研究における斬新なアイデアである「まばらなワイヤーによる較正と観測を両立する」観測手法の原理検証を行う。
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Proc. SPIE, Millimeter, Submillimeter, and Far-Infrared Detectors and Instrumentation for Astronomy VI
巻: 8452 ページ: 1M-1, 1M-9
10.1117/12.925816