時間分解電子線回折装置を完成させた。本装置を用いHOPGやマイカ等の標準試料を用いて透過型及び反射型配置においてフォトカソード電子銃による電子線回折像を得た。さらに透過型配置において、膜厚11nmの金の単結晶薄膜を用いた時間分解測定に成功し、ブラッグピーク強度が10psの時間スケールで減衰する様子を観測した。また、ミクロトームで薄片化したIrTe2単結晶のブラッグピーク観測からは、更に早い2psの時間応答を観測し電子系と格子系との強い結合が示唆された。現状の装置の総合時間分解能は少なくとも2ps以下と見積もられた。鉄系超伝導体FeSeに対する実験は現在も進行中である。
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