(1)遠く離れた量子ドット間のコヒーレントな単一電子輸送: 表面弾性波(SAW)を用いて遠く離れた量子ドット間で単一電子を移送する技術と、飛行量子ビットを制御できる量子干渉計とを組み合わせた。現状では、単一電子2つを干渉計の別々の経路から同時に送ることができるセットアップまで完成している。これにより、干渉の制御や2粒子干渉の実験へと移る準備が完了した。 (2)飛行電荷量子ビットの多量子ビット化とベルの不等式の破れの検証: 高精度での量子ビット操作及び多量子ビット化を目指すため、干渉計のデザインを変更し、試料を作製し直した。同時に、試料ホルダなどを更新した。また、干渉の制御の忠実度を高めるために、高周波セットアップの変更も行った。これにより、SAWによる量子化電流が見やすくなっただけでなく、試料調整の自由度が増えた。これらにより、飛行量子ビットの高精度制御やその多量子ビット化へ向けた基本技術の開発がほぼ完了した。 (3)電子スピンの非局所な量子もつれ状態の生成と検出: SAWによって動く量子ドット中の2電子を別の動く量子ドットへと分離して非局所量子もつれを生成し、それを検出するスキームを立ち上げるための準備を行った。量子もつれの検出方法を検討し直し、スピン軌道相互作用を組み合わせてベル測定を行う方法を提案した(投稿準備中)。また、試料作製のための技術開発を進めた(項目(2)と共通)。
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