研究課題
褐藻類や珪藻類といった海洋性光合成生物が持つ光合成アンテナ蛋白質に結合している独特の天然ポルフィリン色素、クロロフィルcの光励起状態について知見を得ることにより、クロロフィルcの示す光応答メカニズムを解明する事が本研究の目的である。昨年度までに、クロロフィルcのpHに依存する光学的性質を発見し、そのデータの蓄積を行ってきた。その上で、このpH依存性が天然の光合成アンテナ蛋白質内でどのように機能するのかという新たな課題が見えて来た。そこで本年度は、この新たな課題に着目した実測データを蓄積するために、培養時の光照射条件を精密に制御した場合の光合成アンテナ蛋白質の光応答に焦点を絞る計画をたてた。研究員1名を雇用し、市大における大型藻類の糸状体/盤状体培養を開始したが、研究協力先より提供された種(シード)への微細藻類の混入、及び目的の藻類の生育速度が遅いという問題が発生し、半年間では完成しなかった。しかしながら、他の機関からのシードの購入、また培養条件の精査を行っており、見通しはたった。研究代表者のライフイベントにより今年度は半年間で一旦休止し、復帰後に再開した際には比較的早い段階で完成すると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では光照度を制御した精密培養を行う事が年度内に完成する予定であったが、研究代表者のライフイベントが発生したために半年間休止せざるを得ない事、また研究協力先より譲り受けたシードに微細藻類といった他の種類の光合成生物が混入しているという問題がおこり、急遽他の機関からシードを購入する方針に転換した事、また目的の光合成生物の生育速度が予想外に遅かった事により、現段階では完成しなかった。しかしながら見通しはたったため、研究再開後には完成する見込みであるため、おおむね順調と判断した。
今まで雇用して来た研究員1名を継続して雇用し、培養を完成させ、光照射条件が異なった場合のクロロフィルcが関連する光応答に関する知見を新たな観点から観測する事に焦点を絞る。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
Photosynthesis Research
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http://www.ocarina.osaka-cu.ac.jp/site/fujii/