クロロフィル(Chl) cは、海洋性光合成生物内で蛋白質に結合し、太陽光を吸収して光反応中心へ励起エネルギーを伝達する集光作用を担う天然ポルフィリン色素である。また、末端のカルボキシル基で酸化チタンと結合し、色素増感太陽電池では約5%の高い光電変換効率を示す。本研究は、これらの光応答の鍵となるChl cの光励起状態の解明を目的とした。まず、天然物から微量で分離困難な有機酸であるChl cを、高速向流クロマトグラフィーにより純度良く単離精製する事に成功した。次に、Chl cの酸解離が光学応答に大きな影響を及ぼす事を初めて示した。さらに、そのフェムト秒時間分解吸収スペクトルを測定する事に成功した。
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