研究概要 |
本研究は、研究代表者・小野瀬らの最近のマグノンホール効果の発見を契機として、マグノンのベリー位相によって誘起された異常輸送現象、新機能の研究を行うことを目的としている。本年度は、マイクロ波によるマグノンの共鳴励起を用いた研究を展開するため購入したネットワークアナライザ、超伝導マグネット、シグナルジェネレータを利用して低温、磁場下でマイクロ波応答の測定系を立ち上げた。そして、これを用いたマグノン新現象・機能の開拓を試みた。特に、トポロジカル磁気構造体であるスキルミオンが結晶を組むスキルミオン格子が観測されるCu2OSeO3において、スキルミオン回転モードやスキルミオンブリージングモードなどそのトポロジカルな磁気構造を反映した得意な磁気励起状態を明らかにした。これらのモードはマイクロ波の方向二色性などユニークな機能性を示すことが理論的に指摘されている。また、関連した研究として、Ba2XGe2O7(X=Mn,Co,Cu)の電気磁気結合に関する知見を誘電率測定から得ることに成功した。さらには、MnGeにおけるスキルミオン結晶の磁気状態に関する知見を中性子散乱のグループと共同で得ることに成功した。
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