研究課題
本研究では、物質の電子状態を制御する手法として、イオン液体などの電解質の電気二重層及び原子堆積法による極薄薄膜の作り出す超強電界を利用し、その背景に眠るサイエンスの理解と応用展開を目指すことを目標に研究を行った。今年度は、原子層堆積法により成膜した極薄絶縁層を用いたキャリア注入技術の確立及び、イオン液体を用いた電界効果トランジスタ構造を用いることでイオン液体―固体界面に高密度キャリア注入を行い、様々な相転移(金属―絶縁体転移、強磁性―常磁性転移)の研究を行った。1、イオン液体を含有する全固体フィルムの作製に成功した。ポリマーの種類を変えることで、イオン液体単体と同様の静電容量をもち、低温での実験も行えるフィルムの作製が行えた。またフィルムを用いることで、化学反応などをおさえる事ができることも明らかにした。2、原子層堆積法を用いて、有機単結晶の上に直接HfO2及びAl2O3の絶縁膜を成膜し、その絶縁膜を利用した電界効果トランジスタの作製に成功した。HfO2及びAl2O3の極薄膜を使うことで、閾値電圧が低く、低電圧駆動が可能なトランジスタを実現した。また、絶縁膜が有機単結晶の全体を封止しており、大気中で放置しても、有機半導体の性能が劣化しないことを発見した。3、イオン液体を用いた電界効果トランジスタ構造を用いることで、パーマロイFePt薄膜に高密度キャリア注入を行い、磁壁の形成などを電圧によって制御できること見出した。4、イオン液体を用いて、PrSrMnO3の薄膜の電荷密度の制御を行い、金属―絶縁体転移の制御に成功した。また、電界効果の制御により、化学置換では実現しなかった新しい絶縁体状態を発見することに成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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