研究課題/領域番号 |
23684035
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 俊 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10403130)
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キーワード | 量子エレクトロニクス |
研究概要 |
本研究では光の量子状態を保持したまま波長変換を行う硫子波長変換を実現し、これを利用した量子情報技術の開拓を行う。情子情報処理の実現には量子光通信や物質系での量子状態制御や量子メモリを駆使する必要がある。しかし、これまで物質系からの発光を利用した非古典光の発生は可視光領域が多く、赤外領域にある光通信波長域とは大きなギャップがあった。この量子波長変換を用いることで、このギャップを埋め物質系からの量子状態を光通信を川いてより長距離通信が可能となる。また、量子波長変換を組み合わせることで波長自由度を利用した聴子操作を実現し、新たな量子精報技術を開拓する。本年度はこのち、量子周波数変換の基本動作確認の実験を実施した。導波路型PPLNを用い、780nmの弱いCWレーザー光を1600n康の励起光を用いた差周波発生により通信波長帯1522nmに波長変換を行った。変換効率は70%近い値を得ることができ、非常に高効率な波長変換を実現した。更に光パラメトリック変換を用いて780nm光子対を発生し、これから得られる単一光子を通信波長帯光子へ変換し、g(2)=0.17の高い非古典性を観測した。また、光パラメトリック変換により780nmの偏光エンタングルメント光子対を発生させ、この一方を通信波長帯光子へ変換する実験を行った。変換後の忠実度0.75であり、非常に高いエンタングルメントを確認することができた。この成果はNature communications誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた量子波長変換を順調に成功させることができ、更なる高度化への道筋も見えている。これを利用した来年度以降の準備も順調に進んでおり、当初の予定通りに進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度におおむね最子波長変換の原理実証を実現している。今後はこの硅子波長変換の高精度化に向けて実験的努力を行うとともに、これを利用した波長自由度の量子状態操作の基礎実験を行う。既にそのための光学系の進備を始めており、問題なく遂行できる。これに加えて挑戦的テーマである。原子からの光を通信波長帯に変換する実験系の準備を進めたい。
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