研究課題
地震時の断層滑りによる摩擦発熱は,断層中の間隙水を加熱・加圧し,断層の強度弱化(thermal pressurization)を引き起こす.同じく摩擦発熱によって引き起こされる粘土鉱物の脱OH反応は,水を外部に放出し,この断層の強度弱化を劇的にアシストする可能性がある.そこで本研究課題では,粘土鉱物の脱OH反応で放出される水に着目し,震源断層の試料における反応の痕跡の検出と熱分析による反応速度パラメータの決定,断層滑り挙動の数値解析等を通して,粘土鉱物の脱OH反応による水が地震時の断層滑り挙動に与える影響の解明を実施した.さらに,このような現象が2011年東北地方太平洋沖地震時の海溝付近のプレート境界断層の大規模滑りに寄与したかどうかを検証するために,IODP EXP343で採取されたプレート境界断層の脱水速度論および鉱物組成の分析を実施した.その結果,断層試料はスメクタイトを主とする粘土鉱物を約7割含み,かつ比較的低温(100-200℃)で多くの水を放出しうることが明らかになった.これは,その断層の大規模滑りを促進した可能性を示唆する.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
Geophysical Research Letters
巻: 未定 ページ: 未定
Tectonophysics
Earth, Planets and Space
月刊地球
巻: 36 ページ: 112-119
巻: 40 ページ: 1–5
10.1002/grl.50609