研究課題
開発した装置を用いてこれまでH2O氷、ならびにH2Oと他の化学種との混合氷の光化学反応素過程の研究を行ってきた。今年度は主にCO/H2O混合氷についての研究を行った。COを含むH2O氷においてはCO2やCH3OHなどの分子の生成が確認されており、COは始原的分子といえる。またCOは分子雲中に気体としても存在している。これまでの他グループによるCO光脱離の研究において波長依存性や収率などが報告されているが、光脱離したCOの持つエネルギーや脱離メカニズムについてはほとんど研究されていない。氷薄膜はアモルファスH2O氷と多結晶H2O氷の2種類を作製し、H2O氷薄膜上にCOを蒸着した。試料に157 nmパルスレーザー光を照射してCOを光脱離させた。続いて、脱離したCOをNd:YAG励起色素レーザーで共鳴多光子イオン化し飛行時間型質量分析計で検出した。CO(v=0, 1)の飛行時間分布を測定した。またPGOPHERを使って脱離したCOの回転温度を求めた。赤外反射吸収分光法を用いてH2OとCOの吸着量を見積もり、また生成物を確認した。8 Kに冷却したアモルファスもしくは多結晶H2O氷にCOを吸着させて157 nmレーザー光を照射するとCO2とCH3OHが生成することが赤外反射吸収スペクトルより確認できた。アモルファスH2O氷から光脱離したCO(v=0)の飛行時間分布は3成分で構成されていた。多結晶H2O氷の場合も同じく3成分であった。振動励起したCO(v=1)も光脱離し、その飛行時間分布も3成分で構成されていた。また各成分の回転温度を求めたところ、平均並進温度と回転温度には正の相関があることが分かった。これらの結果よりCOの光脱離ダイナミクスならびに光化学反応過程について考察した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Environmental Chemistry
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10.1071/EN13227
Atmospheric Environment
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