本研究では反応経路自動探索法の開発を進め、その酵素反応への応用を行った。開始当初は、代表者の前田が以前から開発してきた非調和下方歪み追跡法を用いたアプローチの確立に取り組んだ。一方、研究過程において、人工力誘起反応法が大きな分子系においてより高い適用性を示すことが分かった。そこで、人工力誘起反応法を用い、イソペニシリンNシンターゼによるペニシリン合成過程の第一ステップに関する反応経路自動探索を実施した。このとき、ONIOM法と人工力誘起反応法とを組み合わせ、約5千原子からなる同酵素に対する反応経路自動探索を実現した。また人工力誘起反応法の開発にも注力し、その有機反応への応用も精力的に行った。
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