研究課題/領域番号 |
23685006
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
長坂 将成 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (90455212)
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キーワード | 物性実験 / 表面・界面物性 / 内殻分光 / 電極反応 |
研究概要 |
本研究の目的は、電極と電解質溶液が接する固液界面に形成する電気二重層の局所電子構造を明らかにすることである。そのために元素選択的に局所電子構造を明らかにできる軟X線吸収分光法により電極固液界面を直接その場観測する。具体的には、電位変化による白金電極上の電解質溶液の局所構造変化を明らかにする。また色素増感型太陽電池における、紫外光照射による酸化チタン電極と電解質溶液の間の電荷移動に伴う構造変化を明らかにする。これにより電極固液界面における電気二重層の役割を統一的に理解することを目的とする。本年度は透過型軟X線吸収分光法のための液体セルを改良することにより、その液体薄厚を、20nm程度まで薄くすることを可能とした。そして分子科学研究所極端紫外光研究施設の軟X線ビームラインBL3Uにおいて、液体と窒化シリコンの間の固液界面の軟X線吸収分光測定を行った。また同時並行で、液体セルの試料層に電位変化を加えることが可能な液体セルを開発した。この液体セルには4つの電流導入端子を設けて、これにより電極の作用極、対極、参照極を設けることが可能である。また液体セルの試料に近い部分の加熱と冷却が行えるようにして、これまでの液体セルよりも温度変化をより精密に行うことを可能とした。ポテンショスタットを用いてサイクリックボルタンメトリー測定を行うことを可能とした。また電極に電位を周期的に印加して、この状態で電極固液界面の軟X線吸収分光法と赤外吸収分光法を測定して、その時のシグナルをロックインアンプに通すことにより、電位変化によるそれぞれの差分スペクトルを得ることができる測定システムの開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画通り、電極を備えた液体セルの開発を行うことができた。また電位変化による差分スペクトルを測定することが可能なシステムの構築にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
完成した測定システムを用いて、電位変化に伴う白金電極上の電解質溶液の局所構造変化を軟X線吸収分光法と赤外吸収分光法を用いて調べる予定である。
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