研究課題
本年度は、本研究で着目しているナノメカニカル膜型表面応力センサー(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)をファジー嗅覚センサーとして応用するに当たって、重要な要素となる「感度と再現性の両立」と「測定システムのモバイル化」に関して取り組み、呼気診断の可能性を探った。まず感度と再現性については、高い感度が確認されている各種ポリマー材料を、再現性良く被覆する方法として、スプレーコーティング法が有効であることを見いだした。産業的に標準化されているスプレーコーティングでは、微小液滴を滴下するために比較的大きな流量でガスを流す必要があるため、従来のカンチレバー型ナノメカニカルセンサーでは、ガスでレバーが大きく揺らいでしまうため、スプレーコーティングの適用は困難であった。これに対し、MSSでは、その自由端を廃した独特の構造により、標準的スプレーコーティングを適用可能であることが確認された。これによって、感度と再現性をこれまでにない極めて高いレベルで両立することに成功した。次に、測定システムのモバイル化に向けて、プロトタイプデバイスを作製した。圧電素子による超小型ポンプとWifi経由でのデータ転送を組み合わせる事により、手のひらサイズのプロトタイプデバイスの作製に成功した。さらに、計算量を抑えつつリアルタイム解析が可能であり、遺伝子解析にも利用されている最新のアルゴリズムを導入することにより、処理能力が限られているAndroidモバイル機によって、ニオイをワイヤレスかつリアルタイムで判別することに成功した。さらに、呼気診断センサーとしての可能性を探るため、スイスのグループと共同でガン患者の呼気の識別を試みたところ、健康な人の呼気との有意な差を確認することに成功した。この他、流体力学と熱力学に関して予期しない発見があり、現在解析を進めている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Nanoscience and Nanotechnology
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Langmuir
巻: 29 ページ: 7551-7556
dx.doi.org/10.1021/la3046719
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