• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

タンデムへテロフリーデルクラフツ反応を鍵としたヘテログラフェン類の創製

研究課題

研究課題/領域番号 23685020
研究機関京都大学

研究代表者

畠山 琢次  京都大学, 化学研究所, 助教 (90432319)

研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードフリーデルクラフツ / π共役化合物 / グラフェン
研究概要

本応募課題研究では,これまで関心を集めながらも研究が遅れている「ヘテログラフェン」に着目し,そのボトムアップ合成を可能とするタンデムヘテロFriedel-Crafts反応と多重クロスカップリング反応の開発を行う.一連の研究で得られる化合物群は,ヘテログラフェンの部分構造に相当する拡張π共役系を有しており,その構造解析と物性測定を通じて,これまで理論化学的予測に留まっていたヘテログラフェンの本質的な理解を目指す.これら基礎研究に加えて,機能性有機材料としての応用研究を行うことで,「ヘテログラフェンの化学」を一つの研究分野として確立することが本研究の目標である.今年度は,タンデムボラFriedel-Crafts反応を用いることで,アザボラ[6]ヘリセンの合成に成功した。ヘリセンの光学分割にも成功し,ラセミ体と光学活性体についてそれぞれの電荷移動度を測定した結果,前者が正孔輸送性を示すのに対し,後者は電子輸送性を示すことを見出した.さらに,この電荷担体の反転現象が固体状態での分子配列の違いに起因することを明らかにした.光学純度によるキャリアの反転を利用することで,新たな有機エレクトロニクスデバイスの開発に繋がるものと期待される.また,タンデムへテロFriedel-Crafts反応により,ケイ素やゲルマニウムなどの導入にも成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各種タンデムヘテロFriedel-Crafts反応の開発に成功した。また,鉄触媒を用いた芳香族アミノ化反応の開発にも成功しており,今後,これらの反応を集積化することで課題目標である拡張π共役系を有するヘテログラフェン類縁体の合成も可能となると考えられる。また,高い電荷移動度に加えてキャリアの反転現象などの興味深い物性の発現を確認しており,有機エレクトロニクス分野への波及効果も期待できる。

今後の研究の推進方策

各種タンデムヘテロFriedel-Crafts反応と高効率クロスカップリング反応を集積化することで拡張π共役系を有するヘテログラフェン類縁体の合成を行う。合成研究と並行して,基礎物性の測定を行った上で,有機EL,有機薄膜太陽電池,有機薄膜トランジスタといった有機エレクトロニクスデバイスにおける半導体材料としての応用を検討する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Iron-Catalyzed Aromatic Amination for Nonsymmetrical Triarylamine Synthesis2012

    • 著者名/発表者名
      Hatakeyama, T.; Imayoshi, R.; Yoshimoto, Y.; Ghorai, S. K.; Jin, M.; Takaya, H.; Norisue, K.; Sohrin, Y.; Nakamura, M Nakamura, M
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc

      巻: 134 ページ: 20262–20265

    • DOI

      10.1021/ja309845k

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Azaboradibenzo[6]helicene: Carrier Inversion Induced by Helical Homochirality2012

    • 著者名/発表者名
      Hatakeyama, T.; Hashimoto, S.; Oba, T.; Nakamura, M.
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc.

      巻: 134 ページ: 19600-19603

    • DOI

      10.1021/ja310372f

    • 査読あり
  • [学会発表] ヘテロール部位を有するホウ素―窒素 縮環多環芳香族化合物の合成と物性

    • 著者名/発表者名
      橋本士雄磨・大場剛士・畠山琢次・中村正治
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      滋賀,立命館大学
  • [学会発表] 電子求引基を有する4b-アザ-12b-ボラジベンゾ[g,p]クリセンの合成と物性

    • 著者名/発表者名
      青木雄真・橋本士雄磨・畠山琢次・中村正治
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      滋賀,立命館大学
  • [学会発表] BN縮環構造を有する螺旋π共役分子の合成と物性

    • 著者名/発表者名
      畠山琢次・橋本士雄磨・大場剛士・中村正治
    • 学会等名
      第59回 有機金属化学討論会
    • 発表場所
      大阪,大阪大学
  • [学会発表] 鉄触媒芳香族アミノ化反応によるアリールアミン類の合成

    • 著者名/発表者名
      今吉隆治・吉本祐也・ゴーライ, スジット, K.・畠山琢次・中村正治
    • 学会等名
      第59回 有機金属化学討論会
    • 発表場所
      大阪,大阪大学
  • [学会発表] BN縮環構造を有する多環芳香族化合物の合成と物性

    • 著者名/発表者名
      橋本士雄磨・大場剛士・畠山琢次・中村正治
    • 学会等名
      第23回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      京都,京都テルサ
  • [産業財産権] 多環芳香族化合物2012

    • 発明者名
      畠山琢次 他7名
    • 権利者名
      京都大学・JNC石油化学株式会社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2012-199232
    • 出願年月日
      2012-09-11

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi