現在の反応性官能基の変換に依存した有機合成化学に革新をもたらすべく、不活性結合の触媒的変換反応の開発を検討した。不活性結合切断反応は、炭素-水素結合の活性化を基盤とする研究が世界中で活発に行われている。本研究では、不活性結合をさらに広い観点で捉えなおし、未開拓な炭素-水素結合以外の不活性結合の直接変換反応の開発を実施した。その結果、炭素-炭素、炭素-酸素、炭素-窒素、炭素-リン結合の触媒的変換反応の開発に成功し、本研究の潜在的有用性を実証した。特に、「酸化的付加とは異なる機構による結合活性化」という独自の方法論を一般化、多様化することができた。
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