研究課題/領域番号 |
23685023
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70377810)
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キーワード | 高分子合成 / 構造・機能材料 / 高分子構造・物性 / 精密重合 |
研究概要 |
本研究では、炭素-硫黄結合および炭素-ハロゲン結合などの単一の共有結合種を非選択的かつ可逆的に活性化可能な反応条件を探索し、異なる活性種を経て1本の高分子鎖を形成する新規な重合反応の実現を目的としている。当該年度は、特に以下の点に注力して検討を行った。 1.炭素-硫黄結合の活性化によるタンデム型カチオン/ラジカル重合系の開発 カチオン重合性モノマーとして種々のビニルエーテル、ラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルを用い、炭素-硫黄結合を有するRAFT試薬存在下、ラジカル発生剤によるRAFT重合とルイス酸によるリビングカチオン重合を同時に行うタンデム型活性種相互変換重合を検討した。ここで、ラジカル発生剤とルイス酸の種類や濃度、RAFT試薬を適切に設計することで、反応条件によってはタンデム重合が進行することが明らかとなった。とくに、トリチオカーボネート型RAFT試薬を用い、ルイス酸として亜鉛やアルミニウムなどレドックス活性のないものを用いることが重要であった。 2.生成ポリマー解析と反応解析 上記の重合系について、反応解析による各モノマーの消費速度と生成するポリマーの分子量解析によるリビング性評価や^<13>CuNMRによる生成ポリマー中のモノマーユニットの連鎖構造解析などから、タンデム型の重合機構を詳細に検証した。これにより、本重合によって、性質の全く異なるモノマーからなるマルチブロック共重合体が生成していることが明らかとなりつつある。今後、実用物性についても評価し、新規重合概念として有用性を判断する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のこところモノマー種は限られているが、炭素-硫黄結合の異なる刺激による可逆的な活性化を実現することで、従来の活性種による分類を超えたタンデム型活性種相互変換重合が進行することが明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
ルイス酸やラジカル発生剤、RAFT試薬を設計することで、モノマー適応範囲の拡大を検討する。 また、本重合によって期待される性質の全く異なるモノマーからなるランダムおよびマルチブロック共重合体など、得られるポリマーについて詳細な解析を行うとともに、実用物性についても評価し、新規重合概念として有用性を判断する。さらに、プロトンなどのカチオン源によるRAFT型カチオン重合についても検討を行い、金属フリーでの可逆的活性種変換を伴った生長反応についても検討を行う。
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